理学療法士が考える五十肩の治し方とリハビリテーション
「手が挙がらずに棚の食器をとりにくい。洗濯物が干しにくい。」
「車の運転をしていて、後ろの座席に手を伸ばしにくい。」
「(女性に多いですが)下着をつけにくい。」
「ズボンの後ろポケットに手が届きにくい。ズボンを持って引き上げにくい。」
「夜肩が痛くて寝れない。うずくように痛い。」
上記のように多くの症状や日常生活での動きが困難になるいわゆる”五十肩”。
この多くは肩関節周囲に炎症が生じて痛みを誘発している状態で、当院では肩関節周囲炎と言います。
五十肩なので50歳前後の方がなりやすいイメージだと思いますが実際は、30歳から90歳くらいの方が症状を持っています。
この肩関節周囲炎はどういった状態かと言いますと、
局所的な原因として、肩関節を構成している関節包や靭帯などの柔軟性が低下したり、
その周囲にある上腕二頭筋や大円筋、広背筋などの筋肉の柔軟性が低下していることもあります。
また、肩関節は関節の形状から安定性に乏しい為、
インナーマッスルと呼ばれる棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋が
筋力を発揮することによって適切な運動が可能となっていますが、
そのインナーマッスルの筋力が落ちてしまうことによっても、肩関節に負荷がかかり運動を行いにくくなることもあります。
ではどうやって効果的に治療し、改善させるのか?
という話に移りますね。
まず、当院では整形外科医による診察を行わせていただき、肩関節に炎症があるのか?
肩関節に大切な靭帯や筋肉の損傷はないのか?などの診断を行います。
問診や徒手による診断のほかにもレントゲンにて内部の状態を確認・把握もします。
五十肩なのにレントゲン撮るの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、
関節に変形が生じていることもあり、レントゲン撮影によってさらに適切で効果的な治療が可能になります。
その後、リハビリにおいて
肩関節を構成している関節包や靭帯などの柔軟性が低下している方には、
柔軟性が低下している部位にストレッチを行うモビライゼーションという手技を用いて改善を図ります。
筋肉の柔軟性が低下している方にはダイレクトストレッチを行い、自分でできるストレッチを指導します。
インナーマッスルなどの筋力が低下している方に対しては、どの筋肉が筋力低下をおこしているのか個別に筋力を測定し、
その個別筋に対して筋力をつけるようなアプローチを行います。
多くの方が五十肩に悩み、整骨院で治療したほうがいいのかな?
カイロプラクティックはどうだろう?
町のマッサージ屋さんはどうだろう?
それとも大きな総合病院がいいのか?
など悩まれていると思います。
効果的に治療し、少しでも早く症状を改善したいと思われると思いますので、
私としてのおススメの治療を紹介します。
まず肩関節がどんな状態なのか的確に診断できる整形外科医に診てもらうこと。
また、その後に肩関節の靭帯や筋肉などの評価・治療をしっかりとできる理学療法士によってリハビリができること。
この2つが大切だと考えます。
適切な診断とリハビリテーションアプローチによって少しでも早く症状が改善される方が増えるといいと考えます。